7月下旬にコロナを患い後遺症に苦しむ日々も1ヶ月が過ぎようとしていた。
現状を打破するべくインターネットで情報を漁り続けていた私は、遂に一つの治療法に辿りついた。
古くから日本の一部の耳鼻咽喉科で行われているBスポット療法という治療法である。
どのような治療法かというと、炎症を起こした上咽頭という箇所に鼻と喉から綿棒を突っ込んで直接薬を塗るというものだ。
上記の画像をご覧いただけただろうか?
私から言わせていただけば、一見すればこれは目の奥を突かれているようなものだ。
こんな恐ろしい治療法がこの現在でいまだに存在してるとは俄かに信じがたい。おまけに処置の際には激痛が伴い血が出ることもあるらしい。
これも旧態依然とした医学会にぶら下がり続ける耳鼻咽喉科医達の忌むべき悪習だろうと日本医学への失意の念に胸が重くなりかけたが、さらに情報を漁り続けると多くの記事や動画にてコロナ後遺症に対してこの治療が非常に推奨されており、倦怠感、めまい、咳や喉の痛みにまで絶大な効果をもたらしているという。
私はこの治療に懸けてみることにした。
Bスポット療法は耳鼻咽喉科の分野だが全ての病院で行われている訳ではなく、尚且つコロナ後遺症外来の病院となるとかなり数は絞られてくる。
なるべく付近で探してみるのだが2つを兼ね備えた病院はなかなかヒットしない。
やっと見つかったのは電車で1時間程度かかる距離の病院であった。
その時の私の症状は、公園を僅か5分歩くほどで体が重くなりめまいで座り込んでしまうほどである。
新所沢駅まで辿りつくだけでやっとだろう。ホームに向かうために階段だってのぼらなければいけないし、もしかしたら電車の中で気を失ってしまうのではないだろうか?
私はいつものようにパートナーに連絡し相談してみることにした。
Bスポット療法のこと、病院までの距離のことを打ち明けたところ、なんと車で迎えにきて病院まで送ってくれるというではないか!
なんというノリの良さだろう、私はいつも困った時このパートナーのノリの良さに助けれてきた。今回も彼女がいなければここまで病気と向き合うこともできなかっただろう。毎度頭が上がらない。
その病院はネット予約も受け付けており、スムーズに治療の日程を決める事ができた。
迎えた診察日、病院に向かう車内で不安と恐怖で私の胸は渦巻いていた。
やはり得体の知れない症状で病院に向かうのは気が重い、以前診察を受けた病院では漢方薬を処方されただけでほとんど効果はなかった。
今回もまたダメなのでは無いだろうか、ましてや激痛を伴うと言われている治療である。
時折頭によぎるのは世にも恐ろしい上記の画像だ。
病院に到着し待合の椅子に腰掛け初診の問診票を記入後、名前を呼ばれるの待つ私はさながら死刑台に向かう囚人の心持ちである。
そして遂に私の名前が呼び出され診察室に足を踏み入れた。
ドクターが言うにはまずメニエール病を発症していないか検査し内視鏡での上咽頭の検査、そしてBスポット療法を施すとのことだ。
「ご存知かと思いますがBスポットかなり痛いです」
ドクターは私に言い放った。すでにわかりきった事だ。私の腹は決まっている。
メニエール病の検査なのだが、身動きが取れない個室に閉じ込められヘッドホンから流れる聞き取れるどうかの小さい音を聞き分け手元のボタンを押すというもので、別の後遺症外来の耳鼻科でも行ったのだが、この時の私の病状ではかなり負担が大きく返って症状が悪化してしまった。
以前の病院でもメニエール病ではないと診断されていたのだが言い出すことできず、私はなされるがまま同じ事を繰り返した。
これをなんとか耐えきり、次は内視鏡検査。
鼻から内視鏡を入れ上咽頭の患部の状態を診るとのことだが、多少苦しいが痛みはなく内視鏡検査自体は何度か経験があるためあまり負担は感じなかった。
内視鏡から映される映像で上咽頭を確認するドクター。
そして早口でドクターは再び私に言い放った。
「やっぱり炎症起きてるんでBスポットやっていきましょう」
私は頭を後ろに倒し覚悟を決めた。
④に続く。。。
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